内閣府は2019年度アイヌ政策推進交付金の交付自治体として、胆振管内では白老町、登別市、洞爺湖町、豊浦町の4市町を対象とすることを決めた。このうち白老町では全小中学校への学習支援員配置やアイヌ文化保存・伝承など5事業、総額3774万9000円の交付が認められ、町は今後事業に取り組む。
町が国に申請し、交付が決まった事業は(1)アイヌ文様ラッピングバス運行(2)学力向上サポートの学習支援員配置(3)学校給食地場産品活用(4)アイヌ文化保存・伝承・発展活動推進(5)アイヌ文化関連PR―の5件。
具体的には、アイヌ文様を施した町内循環バスの運行に向けた調査を行うほか、学力サポート事業では現在白老小と萩野小に配置している学習支援員を全小中学校6校に置き、児童生徒の基礎学力向上を図る。学校給食への地場産品活用では、小中学校の給食にアイヌ伝統食材活用の料理を提供し、アイヌの食文化を伝える。アイヌ文化保存・伝承・発展活動推進事業では、白老アイヌ協会に委託し文化伝承の人材育成や商品開発を進める。アイヌ文化PR事業では、来年4月の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業に向けたイベント開催やPR看板設置などに取り組む。町負担を含めた総事業費は約4700万円となる。
5事業は町が取りまとめた「アイヌ施策推進地域計画案」(19~23年度)に盛り込んだもので、この他、生活館改修や観光客対応の医療体制整備など今後5年間の事業も示している。町は来年度以降も国に事業費の交付金申請を行う。
また、登別市では、ウポポイと登別温泉を結ぶバス運行などで3567万円の交付が認められた。洞爺湖町は生活館建て替えなどで2000万円、豊浦町も生活館改修などで2628万円の交付が決まった。
新たな交付金制度は、アイヌを法律上初めて「先住民族」と定めた5月施行のアイヌ施策推進法に盛り込まれた。市町村が施策推進の地域計画を作成し、国の認定を受けた計画の事業に対し交付金が支給される。事業は従来の文化振興や福祉施策に加え、アイヌ文化を生かした地域・産業・観光振興などを支援するものとし、今年度の政府予算規模は10億円。交付対象の事業については、国が費用の80%、市町村が20%を負担。市町村の負担部分に関しては地方財政措置があるため、実質負担割合は10%となる。