道内各地の博物館学芸員による北海道博物館協会学芸職員部会の研修会が25、26の両日、白老町コミュニティセンターで開かれた。来年4月の民族共生象徴空間(ウポポイ)・国立アイヌ民族博物館の開業を契機に、博物館同士でアイヌ民具の貸し借りが増えると予想される中、学芸員らは民具の取り扱い方について知識を深めた。
白老町での同協会の研修会開催は2007年以来12年ぶり。今回は「資料の貸借マナーと技術の共有化―カルテ作成から梱包(こんぽう)まで」をテーマとし、各地の博物館や資料館に勤める学芸員約80人が集まった。
初日の25日は、元道立アイヌ民族研究センター職員の古原敏弘さんと、公益財団法人アイヌ民族文化財団職員の岡田恵介さんが講師を務め、「アイヌ民具の梱包」について解説。古原さんはアイヌ民族の漆器などの調査研究に長く携わってきた経験を踏まえ「貴重な資料を傷めず保管するためには紙で包装することが重要」などと助言した。
また、岡田さんは、アイヌ民具資料の貸し借り時の梱包作業を具体的に紹介。「薄葉紙」と呼ばれる包装用和紙を切り裂いて梱包時の紙ひもを作る方法や、クッション材の綿の使い方を指導し、参加者は民具のイタ(盆)を保護しながら段ボール箱に詰め込む作業を体験した。
翌日の26日は、北海道博物館職員の三浦泰之さんが講師となり、資料の記録簿の作成方法や取り扱いの注意点などを説明。参加者は研修を通じて資料貸借の知識と技術を身に付けた。