名古屋外国語大学(愛知県日進市)世界共生学部の学生8人が8月27日から3日にかけて、白老町で多文化共生と地域創生をテーマに調査活動を展開した。アイヌ文化が共存する地域社会の実情と、町の魅力を生かした地域創生の可能性を探る学術的なフィールドワークで、4日午後6時から町内で成果報告会を開く。
フィールドワークは、世界共生学科「地域創生科目」の実地授業として企画。アイヌ文化が息づくまちの特性を生かした地域振興と、多文化共生のまちづくりを目指している白老町を舞台とした。
学生らは8月25日に来道し、平取町の二風谷アイヌ文化博物館などを見学した後、同26日午後に白老入り。翌日から調査活動を始めた。白老ではさまざまな住民からまちの魅力やアイヌ文化、ライフスタイルなどについて聞き取り調査したほか、ポロトの森で地域おこし協力隊員からアイヌ民族と自然の関係性なども学んだ。1日には町内の川沿生活館でアイヌ文様の刺しゅうを体験。町民グループ・フッチコラチの岡田育子代表や会員の指導を受けながら、針と糸で布に伝統の文様を描いた。
初めての刺しゅうを楽しんだ同大2年の久保璃華さん(19)は「こうした文化体験の機会をより町に広げていけば、それは白老の大きな魅力や観光の資源にもなるはず」と語った。同じく2年の中村天河さん(20)は一連のフィールドワークを振り返りながら「地域資源を生かしたビジネスの可能性がいろいろとある町だと感じた。アイヌ文化は外に向かってもっと発信すべき」と指摘した。
学生らを率いる同大の地田徹朗准教授は、異なる国籍や民族が文化の違いを認め合い、共に生きる多文化共生や地域創生について「白老町から学ぶことは非常に多い。来年もこの町でフィールドワークを企画したい」と話した。
学生たちによる4日の成果報告会は、同町本町1のしらおい創造空間「蔵」多目的ホールで開く。誰でも参加できる。