静内農高生産馬が落札 サラブレッドサマーセール 新ひだか

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2019年8月31日

  新ひだか町の北海道市場でこのほど開かれたサラブレッド1歳馬競り市「サマーセール」(日高軽種馬農協主催)で、町内にある静内農業高校生産・育成の牡馬「桜翔」(はると)が、340万円(税込367万2000円)で札幌市の富樫賢二さんに落札された。同馬が誕生してから世話をしてきた生徒たちは感激の表情を浮かべ、競走馬としての活躍に思いをはせた。

   畜産系の生産科学科のある同校では、全国の高校で唯一サラブレッドを生産しており、生徒が繁殖から育成までに携わっている。

   昨年4月4日に誕生し「桜の名所にある静内農高から全国に羽ばたいてほしい」との願いが込められた桜翔。生徒たちが愛情いっぱいに育て、競りまでに体高156センチまで成長した。

   競りの1カ月前まで負荷をかけて丈夫な体に育てる夜間放牧を行い、その後は生徒が毎日30分ほどの引き馬を行って競りに備えた。競り前日の夕方に会場の厩舎(きゅうしゃ)に入り、男子生徒2人も厩舎に泊まり込んで最終調整した。

   競り当日の展示ではリクエストに応えて引き馬をして状態の良さをアピール。競りでは矢野颯之新さん(3年)が桜翔を導き、競り会場に入る時に「よろしくお願いします」と元気にあいさつした。

   200万円からスタートした競りは複数の購入希望者が競り上げ、340万円で富樫さんが落札。競りを見守っていた加藤和則教頭や応援に駆け付けた生徒らにも笑顔が広がった。

   泊まり掛けで桜翔の世話をした矢野さんは「売れたことに、まずはホッとしている」、菊地蓮さん(同)は「今までやれることは全てやってきた」、一緒に馬の世話をした中元雅望さん(同)は「競り上げの時は力が入った。みんなで気持ちが一つになれた」とそれぞれ話していた。

   馬コース担当の若松勇太教諭は「うまくいったことより、つらいことが多かったと思う。馬と長く接することで信頼関係を作り出せた。成長してレースで活躍してくれれば」と胸をなでおろした。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。