埼玉県八潮市の県道交差点で道路が陥没し、トラックが転落した事故を受け、苫小牧市は30日、市内の下水道管の緊急点検に乗り出した。今回、陥没事故を引き起こしたとみられる破損した下水道管は県内12市町の汚水を集め、下水処理場につなぐ直径最大4・7メートルの大型サイズ。苫小牧市内で最も大きな下水道管は同1・35メートルで同様の事故が起きるリスクは低いものの万が一に備え、独自に点検を進めている。1週間ほどで完了させたい考えだ。 市下水道課によると、市内の下水道管は総延長約1520キロ。管の大半が直径20~30センチの小口径で、深さ約2メートル前後の地中に埋設されている。 緊急点検は、腐食の主因とされる硫化水素が発生しやすい場所にあるマンホール57カ所が対象。職員が2人1組になり、1カ所ずつマンホールのふたを開けて検知器で硫化水素の有無を調べた上、管の土砂の流入も確認している。 土砂が見つかった場合は管にカメラを入れ、破損の有無をチェック。初日の点検で異常は見つかっていない。31日も朝から市職員が調査に追われている。 同課の担当者は「今回、埼玉県で破損した下水管のような直径4メートル超のタイプは苫小牧市内にはなく、まず考えられない事故」と強調した。 市は下水道管の老朽化対策の一環で、2007年度から管内部の調査にも着手。すでに耐用年数の50年を超えた延長266キロを含む375キロについて実施済みで日本下水道協会の指針に基づき、管の腐食や破損、たるみなどの状況から対策の緊急度を1(重度)、2(中度)、3(軽度)、劣化なしの4段階で判定している。 速やかな措置が求められる1判定の管は2・2キロに上ったが、23年度までに対策を完了。2判定は54キロあったが23年度末時点で38・5キロ分を対策済みという。