食品に関する課題を最先端技術で解決しようとする「フードテック」企業が、面白い商品を世に出している。
長崎県平戸市のアイルは、規格外の野菜をのりのようにシート状にして乾燥させた「ベジート」を生んだ。緑色はホウレンソウ、だいだい色はニンジンから出来ており、賞味期限は2年以上。カラフルなのり巻きなどを作ることができる。川崎市のミートエポックは、人体に害のない特殊なカビで肉や魚の鮮度を保ち、熟成を促す「発酵力オイシート」を開発した。これで包むと冷蔵庫で約5日保つことができ、うま味も増す。
いずれも本来は食べることができる食品が廃棄される「食品ロス」の解決に向けて開発された。世界が飢餓に苦しむ人々に480トンの食料を支援する中(2022年度)、この小さな島国はほぼ同量の食料472万トンを捨てている(同)。
解決への取り組みを豊かな食生活にもつなげた企業努力には頭が下がる。私たちにもできることがあるとすれば、一つは買い過ぎを控えること。賞味期限を気にしなければならない食品が減り、期限が迫った際に料理を作り過ぎることも、捨てないようにと食べ過ぎることも減る。ストレス減と健康維持につながるが、関心を持ってもらえるだろうか。(林)