年金改革法が成立  将来世代の給付底上げ

  • AD, undefined, 内外1, 国内・海外
  • 2025年6月13日

 将来世代の基礎年金底上げ策を柱とする年金制度改革関連法が13日の参院本会議で、与党と立憲民主党などの賛成多数により可決、成立した。政府が法案を国会に提出した時点では、自民の異論を受け、底上げ策が省かれたが、3党合意により復活した。2029年の年金財政検証で給付水準の大幅な低下が見込まれる場合に発動する。働き控え解消に向けた「年収の壁」対策も盛り込まれた。

 今回の改革は、5年に1度行われる財政検証の結果が24年に公表されたのを受けたものだ。全国民を対象とする基礎年金は、少子高齢化の影響で給付水準が将来的に約3割下がる見込み。そこで、政府は底上げ策を改革の目玉と位置付けてきた。しかし、厚生年金の積立金を活用する仕組みに対して、自民から「厚生年金の流用だ」との批判が噴出し、法案からの削除を余儀なくされた。その後、立民主導による3党協議を経て明記された。

 底上げ策の影響で厚生年金の支給額が一時的に減る人には緩和策を講じる。一方、基礎年金の半分は国費で賄う仕組みで、底上げにより国庫負担が膨らむが、財源に関する議論は先送りとなった。

 厚生年金に入るパートなど短時間労働者の対象拡大も盛り込まれた。勤め先企業の従業員数に関する要件を35年10月に撤廃。「年収106万円の壁」の賃金要件もなくす。これにより、週20時間以上働けば厚生年金の加入義務が生じ、老後の年金額が増える。新規加入者は約180万人の見通し。保険料を折半する企業側は中小・零細ほど改革の影響で負担が重くなるため、政府は支援策を講じる。

 働く高齢者が受け取る厚生年金を減額する「在職老齢年金制度」も見直す。65歳以上で働いている場合、年金をカットする基準月額(賃金と厚生年金の合計)を現行の51万円から62万円に上げる。働きながら年金を満額受給できる高齢者を増やす狙いだ。

 このほか、高所得者の厚生年金保険料の上限引き上げや、遺族厚生年金の男女差解消を規定。個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)に加入できる年齢上限も上げて、70歳未満が入れるようにする。

こんな記事も読まれています

ニュースカレンダー

紙面ビューアー