芸術祭「ルーツ&アーツしらおい―白老文化芸術共創」(白老文化観光推進実行委員会主催)の27日開幕を前に、「白老の夢」をタイトルとする巨大壁画が19日、町本町1の食料品店「スーパーくまがい」の入り口にお目見えした。
作品は、幅20メートル×高さ2メートル。平和が花言葉のデージー(ひなげし)を手にした少女の笑顔を中心に据え、樽前山、アヨロ鼻灯台、虎杖浜の海岸、倶多楽湖などの風景が描かれている。さらにヒグマやサケ、社台の草原を駆ける馬、踊る町民などをちりばめており、町の魅力を余すところなく詰め込んだカラフルで遊び心に満ちた仕上がりになっている。
手掛けたのは、芸術祭の出展者の1人で後志管内蘭越町在住の画家吉田卓矢さん(36)。5月に白老町を訪れ、地域を巡って取材やスケッチを重ねた。壁画は習作を基に1カ月かけて完成させた。
18日に取り付け、19日に最終的な補修と調整作業を行った。吉田さんにとっては、これまで描いた中で最も大きな作品で「挑戦しがいがあった。白老の美しい景色と人の良さ、活気を表現した。町民の皆さんや他の町から来た人に、夢のようなまちだと思ってもらえたら」と話した。
芸術祭の主催者代表で、会場の責任者でもある熊谷威二会長(79)は壁画を見上げ、「まちの魅力を思い切り表現した作品を描いてくれて本当にうれしい。芸術祭で白老を好きになる人が増え、町の活性化につながることを切に願う」と目を細めた。
作品は開幕に先駆けて公開された。芸術祭会期の10月10日まで誰でも鑑賞できる。吉田さんは、8月31日からhaku(ハク)ホステル=町大町=で壁画の制作過程や習作を並べる小品展を開き、さらに「旧河庄園」=同=の店舗外壁を使った壁画の公開制作を披露する予定だ。