前線を伴った低気圧が本道付近を通過した影響で、胆振東部も大雨に見舞われた。厚真町では16日未明から降り続き、土砂崩れや河川の増水が発生したため、一部の地区に警戒レベル4に当たる「避難指示」を発令。むかわ町でも洪水などの恐れがあるとして穂別地区の一部に同レベル3になる「高齢者等避難」を発令した。両町は当該地区に避難所を開設し、厚真町の避難所では12人が不安な一夜を過ごしたが、避難指示は17日までにすべて解除となり、避難所も閉鎖となった。現時点でけが人は出ていないが、被害の確認を急いでいる。
気象庁によると、東胆振7観測地点の16日午後7時30分時点の24時間降雨量は、むかわ町穂別で129ミリ、厚真町92ミリ、安平町84ミリ、むかわ町鵡川82ミリ。
厚真町では、高丘地区の町道で雨による土砂崩れや倒木が起き、道路がふさがれ、消防が対応に追われた。また、高丘、本郷地区で河川の氾濫、増水が発生した。
これを受けて町は、午前11時35分に災害対策本部を立ち上げた。河川の増水や土砂崩れの危険性があるとして、高丘地区と本郷地区の一部の住民に避難指示を発令し、富里地区にある厚北地域防災コミュニティセンターならやまと本郷マナビィハウスに避難所を開設した。
ならやまには最大で7世帯12人が避難。高丘自治体会の松平功会長(81)は「まさかこんなに雨が降るとは思わなかった。もう降らなければいいが」と不安をのぞかせ、避難した橋本勲さん(92)は「(これほどの大雨は)初めてのことだから状況が読めない。早く家に戻りたい」と静かに話した。
発令していた避難指示は、17日午前6時45分までにすべて解除した。これに伴い、厚北地域防災コミュニティセンターならやまなどに開設していた避難所は閉鎖した。
むかわ町では、穂別地区で河川の増水による道路の冠水で道道などが一時通行止めになったほか、住宅で床下浸水が起きた。鵡川地区では、大原のたんぽぽ公園の芝生広場や駐車場が河川の増水により冠水。旭岡、有明、生田など約20戸では樹木などの接触で一時停電も発生した。
町は、洪水の恐れがあるとして午後2時20分に災害対策本部を設置し、町職員が警戒や情報の収集に当たった。また同2時30分の時点で穂別水位観測所では、避難判断水位を超える水位に到達したため、高齢者等避難を穂別地区の18世帯31人に発令。穂別町民センターに避難所を設けた。
発令は同7時に解除し、避難所も閉鎖した。