厚真町は、役場新庁舎と周辺整備について、アイヌセンター(仮称)として改修する予定だった現庁舎を解体する代替案を町議会に提案した。4日までに開かれた新庁舎周辺等整備調査検討特別委員会に資料を提示。当初の素案に比べ施設のコンパクト化と動線確保、コスト圧縮などを可能にする内容で、同委員会で協議を重ねることになりそうだ。
町が当初示した基本構想・基本計画(素案)は、現庁舎を2018年9月の胆振東部地震に耐えた歴史的建造物として改修し、アイヌセンターとして機能させるものだった。しかし、築69年が経過した建物にはそれなりの維持費が掛かり、「アイヌセンターにそこまでの広さが必要なのか」といった声も議員から上がっていた。
今回の代替案は、現庁舎を改修せずに解体し、その敷地を道路として確保。アイヌセンターは単一の建物ではなく、新たに整備する文化交流施設と併築する。施設内にアイヌ民族の展示スペース、資料収蔵庫を確保するとともに、町の歴史展示・震災アーカイブのスペース、映像展示室、ものづくり体験室などを設ける。併築でアイヌセンターの機能がコンパクト化されるほか、合理化、効率化も図られる。
アイヌセンターの面積は、素案では1600平方メートルだが、代替案では360平方メートルほど。建築に掛かる概算事業費は約2億5000万円で、このうち2億円を国のアイヌ政策推進交付金で賄う考えだ。役場新庁舎と周辺整備全ての整備費として当初見込んでいたのは66億3500万円だが、代替案では60億2700万円まで削減され、現庁舎の解体費などを含めても64億7700万円まで圧縮される。現段階で活用できる国の緊急防災・減災対策事業債などを充てれば、さらに圧縮できる可能性もあり、町の負担を極力抑える方策を検討している。
一方、役場新庁舎と消防庁舎を含む周辺整備をめぐっては、当初の素案に対し、全体スケジュールの見直しを求める決議案が可決されている。町総務課は「新たな素案の確定に向けて、議会と協議していく」と話している。