貴重な自然に理解深める ヨコスト湿原見学会に40人 環境保護意識高まる 白老

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  • 2022年6月28日

 白老町環境町民会議(粂田正博会長)は25日、同町東部に広がるヨコスト湿原で町民見学会を開いた。地元や苫小牧市、室蘭市などから約40人が参加。専門家の案内で海岸や湿地に自生する草花を見て回り、環境省の「日本の重要湿地」に選定されている貴重な自然に理解を深めた。

 ヨコスト湿原保護活動の関係者らが案内役を務めた。粂田会長は「郷土の重要な湿地に理解を深めて」とあいさつ。ヨコスト湿原友の会の中野嘉陽会長も「教え合い、学び合える機会にしたい」と述べた。

 参加者はヒバリの鳴き声が響き渡る中、ハマナス、ハマエンドウ、ハマニンニク、ヒメイズイなどの海浜植物を見学。草花、野鳥、アイヌ語の専門家から、動植物の名前や生態、さらに「かつてアイヌ民族はハマナスの花を摘み取って香料の原料にした」など海浜植物と人の関わりについて説明を受けた。

 参加者は、多種多様な動植物が息づく優れた環境に関心を持ったよう。白老が誇る貴重な自然環境を守ろうという意識を高め、自主的にごみ拾いをする人も現れた。

 同湿原を見守ってきた平山道男さん(82)=町日の出町=は「貴重な草花の盗掘が後を絶たない。ここでしか育たない動植物、この環境そのものを守っていく気持ちを多くの人と共有していきたい」と話していた。

 ヨコスト湿原は町日の出町と社台にまたがる低層湿原で、面積は33ヘクタール。砂丘、沼地、河川、草原、樹林帯などで形成され、環境省は2016年「日本の重要湿地」に選定。北海道の自然環境保全指針でも「優れた自然地域」とされている。一方、在来種を駆逐するオオアワダチソウなど外来種の侵入をはじめ、ごみの不法投棄、湿原の乾燥化、希少植物の盗掘といった問題が顕在化している。

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