イルカやクジラの生態を研究している自然写真家笹森琴絵さん(59)=室蘭市=が登別マリンパークニクスで開いている回廊写真展がこのほどリニューアルされた。同展は2002年に始まり、今回を含め38回のリニューアルを経て、今年で20年目。今展では笹森さんが20年にわたって撮影してきたクジラ類の写真の中から約20点を並べている。
笹森さんは1963年、室蘭市生まれ。日本クジライルカウオッチング協議会会長で酪農学園大学特任准教授、国際観光学研究センター客員フェローなども務める。
今展は2部構成。第1部では「噴火湾のカマイルカたち」をテーマに、胆振西部の噴火湾周辺で見られるカマイルカの躍動する姿を伝えている。波が穏やかな同海域は餌場以外に繁殖や出産に適するとされ、集団で海面から勢いよく飛び出す様子などをとらえている。
第2部では「クジラと生きる島国 日本」と題し、日本列島沿岸や沖合で暮らす身近なクジラ類7種を紹介。迫力あるマッコウクジラの尾びれや噴火湾のミンククジラのジャンプを撮った作品を出品している。笹森さんによると世界に現存するクジラ類は約90種で、このうち国内には40種余り、道内には20種ほどが生息し「日本は世界のクジラ類の2割近い種が見られる貴重な国」と話す。
海洋観察を四半世紀続けている笹森さんは、海洋汚染などクジラ類を取り巻く環境問題にも強い関心を寄せており「イルカやクジラは私たちに身近な生き物。展示を通してクジラ類や海を守りたいと思う人が1人でも増えたら」と期待している。