白老町で15日から「白老文化芸術共創―ROOTS(ルーツ)&ARTS(アーツ)SHIRAOI」と銘打った文化芸術プロジェクトが始まる。これを前に、主催する白老文化観光推進実行委員会の熊谷威二会長(白老町商工会長)にプロジェクトの内容や意義について聞いた。
―白老文化芸術共創とはどのような事業か。
「日本の美や文化を世界に発信する国家的事業・日本博の一環として企画した芸術文化プロジェクトだ。文化庁の予算を活用し、白老文化観光推進実行委員会が運営主体となって芸術文化プログラムを展開していく。実行委は、戸田安彦町長を名誉会長に町議会、白老アイヌ協会、商工会、観光協会、建設協会、町内会連合会、文化団体連絡協議会、青年会議所など地元各方面の団体代表者で構成し、町を挙げて取り組む体制とした。アーティストたちが白老のさまざまな観光・文化資源に目を向け、住民との触れ合いの中で創作した作品の展示といったプログラムを実施する」
―プログラムの具体的な内容はどのようなものか。
「芸術家が白老に一定期間滞在しながら作品を制作し、展示するアーティスト・イン・レジデンス。アーティストが白老に根付く文化や歴史、人の営みなどを見詰めて作品を制作し紹介するシルキオプロジェクト。白老の魅力を発信するインターネットラジオ番組の配信という3事業を繰り広げる。作品展示の2事業には、道内外のアーティスト6人が参加し、15日から町内6会場で映像や造形作品、詩の朗読といったアートを紹介する。大町商店街の会場では白老の森をイメージし、家屋1棟をまるごと作品化するユニークな展示もある。一部を除き、11月7日にかけて開催する計画だ。インターネットラジオは、ミニ番組のレディオしらおいを既に配信中だ。ラジオウタリと題したスペシャル番組の配信も今年度内に3回予定しており、11月12日には著名なラジオDJで音楽評論家のピーター・バラカンさんをゲストに招いて生配信する」
―白老で文化芸術事業に取り組む意義は何か。
「白老は人を魅了する文化、観光の資源に恵まれたまちだ。ポロト湖や倶多楽湖などの景勝地、アイヌ民族の伝統文化や民話の舞台、自然散策が楽しめる休養林、海産物や白老牛など豊かな食や温泉もある。昨年にはアイヌ文化発信の国立施設・民族共生象徴空間も開設された。飛生芸術祭などアーティストの文化芸術活動も白老で続けられている。こうした白老の多彩な魅力をアートを通じて国内外に発信し、地域活性化や観光振興につなげるのがプロジェクトの狙いだ。地域の文化に触れる観光活動アートツーリズムを取り入れ、活力創出に成功している自治体も国内にある。文化芸術と観光を組み合わせた活動でまちの魅力をより高め、旅行者の誘客や移住を促したい。白老も人口減少が進む中で持続可能なまちづくりのために、できる対策は何でもしなければならない。その手段の一つが地域資源を生かした文化観光と考える。アートプロジェクトを今年度だけで終わらせるのでなく、町役場と町民が共に継続して作り上げる形にしていきたい」