北海道地区大学野球王座決定戦が12日、とましんスタジアム=苫小牧=で行われた。各連盟の秋季1部リーグを制した苫小牧駒沢大(道学生野球)と星槎道都大(札幌学生野球)が対戦し、延長なしの競技規定により3―3で引き分けた。
試合は道都大が三回までに2点を先行する展開。苫駒大は六回に高橋飛雅(2年)の適時打などで2点を奪うと、八回には押し出しで一時勝ち越した。最終九回に同点に追い付かれゲームセットとなったが、大滝敏之監督は「選手たちは最後まで一生懸命戦ってくれた。ナイスゲームだった」とたたえた。
今大会は新型コロナウイルスの影響で中止された明治神宮野球大会進出を懸けた北海道地区代表決定戦の代替として、1試合限定で開催された。小雨で風も吹き抜ける中、会場には多くの野球ファンが詰め掛けて両校のハイレベルな戦いを目に焼き付けた。
▽道地区王座決定戦
苫小牧駒沢大
000002010―3
011000001―3
星槎道都大
(苫)伊藤、後藤、竹澤、安達―小松
(星)川村説、伊東、小野寺―松田彪
?松田彪(星)
?伊藤(苫)川崎、伊藤(星)
【個人賞】
▽最優秀選手賞 松田彪瑠(星)▽優秀選手賞 伊藤大海(苫)▽敢闘賞 伊藤秀和(星)
― 最後まで頼もしく、4年生9人
勝っても負けても引退―。新型コロナによる明治神宮大会の中止によって、難しい精神状態で試合に臨むことを強いられた4年生だったが、頼もしさは最後まで健在だった。序盤に2点を先行されても「流れに乗ったら必ず逆転できる」とベンチ内で仲間を鼓舞。適時打を含む2安打の高橋(2年)ら下級生の奮起を後押しした。
九回には控え投手の竹澤、安達もマウンドに上がり4年生全員が試合出場を果たした。中堅手の土井副主将(4年)は「一番長いシーズンを過ごせたのは初めて。高いレベルで野球をして負けずに終わることができた」と胸を張る。捕手の小松副主将(同)は「最後にみんなで野球ができてうれしかった」と笑顔を見せた。
本来は1学年上のプロ注目右腕、伊藤主将(4年)が同時期に苫駒大へ再入学し頼もしく思えた半面、実力差に距離を感じることもあった。それでも「大海一人のチームじゃないぞ」と大滝監督から激励を受けながら結束力を強くした。現校名の苫駒大として挑む最後の舞台で足跡を残した学生コーチ伊勢、女子マネジャー伊藤を含む9人の最上級生たち。土井副主将は「苫駒大に入学して本当に良かった」と感慨を語った。
―3年生以下も躍動
これからのチームを引き継ぐ下級生メンバーが今季最終戦で活躍した。
六回に先発投手・伊藤からマウンドを託された後藤(2年)が3回を投げ、無失点。「抑えることが恩返しだと思った」と後藤。「伊藤さんの後ろ姿を見続けてきた身として、球速や変化球のキレを向上させて来年の春を迎えたい」と抱負を語った。
1番・高橋(同)も2安打1打点と気を吐いた。六回に2死二塁から中前適時打を放ち、反撃に貢献。「自分が出たら点につながることが多いので、今後もチームの流れをつくる存在になれるよう努力していきたい」
唯一の3年生で外野手の高杉は「人間としてもさらに成長して、後輩の手本になっていきたい」と話し、最高学年として次代のチームを引っ張る決意。「来年も神宮を目指して、先輩たちの分も戦いたい」と力強かった。