白老町の一般社団法人白老モシリは27日、アイヌ民族が食材に利用したオオウバユリの採取や伝統の保存食を作る体験行事を町内で開いた。同法人がイオル(伝統的生活空間)体験交流事業として企画。町内の小学生を含めて10人が参加した。
オオウバユリはユリ科の多年草。アイヌ民族はその球根(トゥレプ)からでんぷんを取り、フキやイタドリの葉に包んで蒸し焼きにして食べたり、発酵、乾燥させてオントゥレプアカムと呼んだ保存食にした。
参加者はまず、同町北吉原地区のオオウバユリ群生地で白老モシリ会員の野本紀一さんの指導を受けながら、伝統の堀り具トゥレプタニを使って球根を採取。大人の拳ほどの大きな球根もあり、作業に取り組んだ小学生は「一生懸命に茎を引っ張ってようやく抜けた」と話した。
その後、参加者は同町末広のしらおいイオル事務所チキサニへ移動。白老モシリ会員の清水綾子さんの助言で、採った球根を臼ときねですりつぶし、ざるやさらし布でこして、でんぷんを取る作業に臨んだ。また、すりつぶした後にざるに残ったものを円盤状に固めてオオイタドリの葉に包み、保存食を作る手順も学んだ。参加者は保存食を自宅に持ち帰り、天日干しで乾燥、発酵させて食べる。
参加した女性は「オオウバユリからでんぷんを取るというアイヌ民族の知恵に感心した」と話し、一連の作業を楽しんだ。