休業要請解除・夜の繁華街を歩く 初日は客足まばら、感染防止を各店で工夫

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  • 2020年6月2日

 新型コロナウイルス感染防止のため道が実施してきた休業要請が1日にすべて解除され、要請に応じていた苫小牧市錦町や大町のスナック、バーなど大部分が営業を再開した。早速、常連客などが訪れ、酒を酌み交わす光景が見られたが入り込みは低調。各店主は笑顔で接客していたが、今後の客足など先行きには不安ものぞかせている。自粛ムードが長期化する繁華街を歩いた。(報道部・室谷実)

 1日午後7時すぎ。市内錦町の「スナックすずらん」では、経営者の齋藤美奈子さん(54)が常連客と乾杯し、久しぶりの再会を喜んでいた。休業は4月13日から5月31日までの長期に及び、再開に向けては座席の間引きや新規の客を断るなど、3密(密閉、密集、密接)にならないよう工夫を心掛ける。

 休業中はテレビやインターネットの動画投稿サイトを視聴するなどして過ごした。仕事がなく、収入もないつらさを痛感したといい「こんなことになると思わなかった。人生何があるか分からない」と少しだけ本音を漏らす。1週間ほど前には眠れないこともあったが「営業再開を知らせた常連の方から『ありがとう』『気を付けて』と言われた。すごくうれしかった」としみじみ語った。

 明徳町から来た常連客の男性(48)は「店に来るのは1カ月半ぶり。こういう状況なので飲食店に行く人は大事な店を絞っているのではないか」と推測する。

 店を出て市道一条通りを東に歩く。スーツ姿の男性数人が店を探す光景も見られたが、人の姿はまばら。自粛が続いていることを実感する。

 午後9時、同町の「パブ オールドファッション」では、店主の伊勢康伸さん(53)が店内モニターに流す映像をセットしながら客を待っていた。

 いつもなら部活動を引退した子どもの保護者たちが打ち上げ会を開き、盛り上がる時期だが、今は団体予約がゼロ。店は4月24日から5月31日の間、一夜だけ開店し、あとはすべて休業した。久しぶりの営業だが客足は鈍く「コロナの影響がなくなるまでは市民が胸を張って外に出られない状況が続く」と理解を示す。

 大町の「バー ケント」では、店主の斉藤芳夫さん(70)が1人の客をもてなしていた。飛沫(ひまつ)防止のフェースシールドを自分で手作りし、店も3密の回避や手洗いの徹底などを促す新北海道スタイルを順守する形で営業。斉藤さんは「40日間休業して本当に大変だった。でも客足が戻るにはまだまだ時間がかかる」と話す。

 久しぶりに多くのネオンがともった市内の繁華街。厳しさが続く中で各店主たちは笑顔で来店客を迎えていた。

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