高齢者を狙った特殊詐欺被害が後を絶たない中、道内で自宅を訪れて預金通帳やキャッシュカードをだまし取る訪問型とされる手口が増えている。最近では新型コロナウイルスに係る外出自粛で「巣ごもり」の家を狙ったり、国の給付金をかたったりする新たな手法も確認された。苫小牧署管内では被害が出ていないものの「少しでも怪しいと感じたらすぐに連絡を」と呼び掛けている。
道警本部によると、今年1~3月末に道内で発生した特殊詐欺件数は昨年同期比13件増の39件で、被害額は3970万円増の9831万円。このうちキャッシュカード詐欺は17件、預貯金詐欺も13件。被害者は8割が65歳以上の高齢者で、家族との同居割合は半数にとどまる。
犯行手口の多くは、金融機関の口座やキャッシュカードが「不正利用されている」とかたるもので、複数の人間が家族などを装って電話と自宅訪問で通帳やカードをだまし取り、暗証番号も言葉巧みに聞き出すという。
苫小牧署管内の特殊詐欺被害は今年1~4月末に3件発生。いずれも訪問型で被害額は805万円に上る。3月には保険金の返金を装って金融機関のカード4枚をだまし取られ、約400万円が盗まれる被害も起きた。
同署は3月から「キャッシュカードを渡さない、暗証番号や口座番号を教えない」キャンペーンを展開中だが、生活安全課の菊地淳一係長は「新型コロナに係る政府の経済対策が続々と打ち出される中、道内では(1人10万円が一律支給される)特別定額給付金を狙った新たな詐欺未遂も起きている」と指摘する。これらの手口では市町村や省庁など行政機関を名乗り、ATM(自動現金預払機)の操作や手数料振り込みを求めることが多いといい「怪しい電話がかかってきたり、郵便物が届いたりしたら迷わず警察に連絡してほしい」と話している。苫小牧警察署 電話0144(35)0110.