新たに全国3区分 解除目安「拡大前の水準」 本道は特定警戒 専門家会議

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  • 2020年5月15日
記者会見する新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の尾身茂副座長=14日夜、厚生労働省

  新型コロナウイルス対策を議論する政府の専門家会議(座長・脇田隆字国立感染症研究所長)は14日、緊急事態宣言解除の目安とした感染者数について「東京で言えば、感染拡大が生じる前の3月上・中旬ごろの水準」に該当することを明らかにした。当時はクラスター(感染者集団)対策などが十分実施できていたといい、同日公表した提言に盛り込んだ。

   感染状況で全国を3区分することも提言。北海道を含む宣言が維持された8都道府県は「特定警戒都道府県」で、引き続き人との接触8割減を求める。宣言解除の39県は感染リスクが最も低い「感染観察」地域に入った。

   政府は宣言解除時の感染状況について「直近1週間の10万人当たりの感染者数が0・5人以下」とした。この水準なら、地域でクラスター感染を追跡することで二次感染の拡大を防げるという。同会議は直近1週間の新規感染者数が、その前の1週間を下回ることも目安にした。他には、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)していないことや、感染者数の再拡大に備えたPCR検査体制の確立も条件に求めた。

   14日夜に記者会見した同会議の尾身茂・副座長は「複数の国では対策緩和後、すぐにクラスターが発生した。宣言解除後もマスク着用や手洗いの徹底、『3密』回避が重要だ」と強調した。

   専門家会議は、各都道府県で感染状況に応じた対策が必要として、現行の「特定警戒」に「感染拡大注意」と「感染観察」を加え3区分することも提言。「特定警戒」では、人と人との接触の8割削減を目指し、イベントやライブハウス使用などの自粛を続ける。公園や図書館などは感染防止策があれば開放もあり得るとした。

   「感染拡大注意」は、新規感染者数が「特定警戒」の半分程度の地域。マスク着用などの「新しい生活様式」を徹底し、都道府県をまたぐ不要不急の移動などを避けるよう要請した。「感染観察」は新規感染者が一定程度確認されるが、「感染拡大注意」に当たらない地域と定義。「感染観察」地域間の移動や参加者100人以下の小規模イベント開催も可能だが「身体的距離の確保などの基本的な対策を講じることが前提」とした。

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