配慮

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年3月19日

  新型コロナウイルスの感染拡大で、ぜんそくを患っている人たちが不安の声を上げているという。ウイルスに感染すると重症化リスクが高まるとの指摘があることに加え、ぜんそく症状のせきが止まらなくなったときに周囲から厳しい視線を向けられ、肩身の狭い思いをしているというのだ。NHKニュースでやっていた。

   慢性的な炎症で刺激に敏感になった気道が発作的に狭くなることを繰り返すぜんそくの患者は国内で増加傾向にあるとされ、呼吸器が十分に発達していない子どもにも多い。ぜんそくのせきはうつらないが、こんな状況下で迷惑そうにされ続けていては、買い物など必要な外出もためらってしまうかもしれない。本人も息苦しく、つらい思いをしているのに気の毒でならない。

   新型コロナをめぐってはマスク不足が解消されず、店側も対応に追われている。入れ代わり立ち代わり訪れる客に都度、「マスクはないのか」と問われ、通常業務に支障が出ているという。入荷未定のお断り文を20枚まで増やした店もあるとか。店員がマスク不足そのものへの苦情の窓口になって責められているとすれば理不尽だし、かわいそうだ。新型コロナの問題は長期化し、各方面に不安が連鎖している。一人ひとりに配慮や節度ある行動が求められる。個人の努力ではどうにもならない困難に直面したときこそ、市民力が試される。(輝)

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