今年の秋サケ来遊数が1736万匹(11月20日現在)と大幅に減少し、平成以降最低の2017年と同水準だったことが分かった。札幌市内のホテルで開かれた19年度北海道定置網漁業振興会議(北海道定置漁業協会主催)では、北海道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場=恵庭市=さけます資源部の畑山誠研究主幹らが海区ごとに分析して発表した。このうち、千歳川の漁獲とつながる日本海区は平年並みという。
会議には全道の漁業関係者350人が出席。冒頭、北海道定置漁業協会の中村憲二会長は大不漁について、来遊が伸びず全道の総水揚げ金額は300億円を割り込んだと説明。「本格的な増殖事業開始前の資源水準の危機的状況。早急な原因究明と資源の早期回復に取り組みたい」と語った。
続く講演で畑山主幹は19年の来遊数は平成以降最低だった17年と同程度と述べた。「一方で河川の捕獲数は226万匹と好調だった」として「3年魚が多く、4年魚と5年魚が予測を大きく下回った」と報告。「日本海区は平年並みで地域間格差も見られた。漁獲は中期(10月初旬)以降が減少した。年級(生まれ年)別では平成26年級が比較的多かった」と解説した。
全道の来遊数の年齢別内訳は5年魚が594万匹(前年比210%、予測比48%)、4年魚878匹(前年比48%、予測比54%)、3年魚244万匹(前年比147%、予測比129%)で3年魚が多く来遊。4年魚、5年魚が予測の半数程度だった―と報告。
年級別年齢割合の推移では5年魚の割合が30%程度に低下。近年は3年魚の割合がやや高めの傾向が全海区で見られるため、「この状態で推移すれば4年魚のみで漁を支える格好になり、漁獲や予測の精度にも大きく影響する。注視が必要」と指摘した。
来遊数減少の要因として、生まれ年の2012年級と13年級の放流時(5月)は沿岸の平均海水温が低かったことが影響した―とする根拠に両年級の4年魚の漁獲の減少を挙げた。
別の研究者の見解として、オホーツク海の夏の水温上昇が早く、サケ当歳魚の移動の障害になっていることや、サケの国別捕獲数で北方系(アラスカ・ロシア)が増加し、南方系(日本・カナダ)で減少しており地球温暖化の影響が考えられる―との見方も示した。
畑山主幹は「資源減少と同時期に起こったサケの変化をヒントに減耗の要因を推定したい」と語った。
日本海区は「195万匹で近年の平均的な来遊。河川捕獲数が46万匹と中部地区を中心に好調だった」。5年魚は21万匹(前年比58%、予測比50%)、4年魚が118万匹(前年比116%、予測比103%)、3年魚は52万匹(前年比297%、予測比178%)だった。