民族共生象徴空間(ウポポイ)開設を控える白老町で、まちの活性化に一役買いたいと東京出身の女性が大町商店街に小さなカフェをオープンさせた。北吉原在住の田村尚華さん(45)が空き店舗を借り、自ら改修を手掛けて開業した。デザイナーとしての経験を生かしたものづくりワークショップを店内で企画し、地元住民や観光客など「人と人をつなぐ場にしたい」と意気込む。
田村さんは長年、生まれ育った東京のデザイン会社でグラフィックデザイナーとして活躍。勤務の傍ら、アロマテラピーやマッサージの技術も習得した。2年前、北海道への憧れもあって白老に移住し、町内の企業に就職。人の優しさと町の魅力に触れ、「白老のために私ができること」を思案。「いろんな人が集まって憩える場、白老の良さを発信できる場をつくりたい」と、カフェの経営を思い付いたという。
3月に会社を退職し、本格的に開業準備を進めた。ウポポイに近く、JR白老駅南側の大町商店街に空き店舗を見つけ、賃貸を所有者と交渉。許可を得て今年7月から友人と一緒に、約40平方メートルの店内の内装工事に当たった。内壁にしっくいを塗り、床を張り替えるなどして、建築後60年以上を経過した古い建物はおしゃれな空間に生まれ変わり、10月末にオープンさせた。
「結(ゆい)」と名付けた店では、野菜を中心とした体に優しい料理の日替わりランチのほか、有機栽培の豆を使用したコーヒー、紅茶といったメニューを用意。テーブル席でお茶を飲みながら体もリフレッシュしてもらうため、特技のマッサージ(有料)も提供している。今後、デザイナー経験を生かし、アクセサリーやリース、木工など白老の素材を使ったものづくりワークショップも企画し「さまざまな人が出会い、交流する機会にしたい」と言う。
来年4月には、大町商店街の近くでウポポイがオープンする。その観光客にも店を利用してもらい、「商店街やまちの情報を発信し、大好きな白老のために少しでも役に立ちたい」と考えている。
営業は午前11時からで、閉店時間は日によって異なる。不定休。店の問い合わせは田村さん 携帯電話090(5439)4096。