恵庭のデイサービス・おしゃべりサロン(本町)は、この秋から利用者のリハビリテーションに木工作業を本格的に取り入れている。高齢者が自らのこぎりを握って踏み台の完成品を仕上げる。将来はイベントでの販売も視野に入れ、施設と社会とのつながりづくりを進める考えだ。
同施設は、認知症などの高齢者が10人程度利用中。日常生活の動作自体をリハビリと捉え、調理や簡単な家事などを利用者が行って身体機能の維持につなげている。これまでも利用者が焼き菓子を調理、販売した益金で温泉に行くなど、やりがいのあるリハビリを目指してきた。
新たな取り組みの木工作業の導入は地域の協力で実現。八木橋工務店=市内駒場町=から道具と木材の寄贈を受け、高さ15センチほどの木製踏み台を製作中だ。
10月下旬には、同工務店の代表で市職業訓練指導員として建築指導経験もある八木橋学さん(45)が訪問。木材をのこぎりで切り、くぎ打ちして組み立て、やすり掛けと塗装までの一連の流れを技術指導した。
施設の職員が安全に配慮した上で、利用者の特性や身体機能に合わせて作業をサポート。中には道具を器用に使いこなし、手際よく完成させる姿に拍手が起こる場面も見られた。
八木橋さんは「人によってできることが異なるので、一人ひとりに合わせた教え方を心掛けています」と語る。仕上がった木工作品は機会をみて寄贈や福祉イベントでの販売も検討していく。
利用者の西久保昭一さん(66)は「私も日曜大工の経験があるし、作業は皆、うまくできていますよ」と笑顔だった。