若年性認知症の当事者2人によるトークイベントが2日、千歳市内のANAクラウンプラザホテル千歳で開かれた。仙台市の丹野智文さん(45)と広島市の竹内裕さん(69)が登壇し、認知症の人に寄り添った支援の在り方や当事者としての思いを話した。
千歳と恵庭両市の認知症地域支援推進員の主催。認知症啓発事業「認知症になっても安心まちづくりキャンペーン」の一環で、今回で3回目。認知症への理解を広め、安心して暮らせる地域づくりを目指す取り組みだ。
過去2回は映画上映だったが、今年は当事者のトークイベント形式。講師の2人は投薬で症状を抑えながら、当事者を支援し、認知症への理解を広める活動に取り組む。
丹野さんは主宰する団体「おれんじドア」で運転免許を返納した当事者と、持ち続ける当事者が対話する機会を設けている。「話すことで免許を持ち続けるメリット、デメリットが分かり、4、5回の対話で返納します。家族が無理に取り上げると傷ついてしまう」と本人の納得が大切とした。
妻から『心配はするけど、信用している』と言われた―というエピソードを示し、当事者の意思を重要視。「自立を奪うことで家に閉じこもる人もいる。共に何をできるか考えて」と語った。
幅広い世代の人が交流し、野球、釣りを楽しむ場を設ける「たぬき倶楽部(くらぶ)」を主宰する竹内さん。50代で認知症と診断された後、家に引きこもった経験にも触れながら「『何もできない』として家庭で何もさせないと、能力が衰えて認知症が進行する」と語った。
生活の知恵としては「手帳に予定を書き、ポケットにもメモ帳を入れている。自分なりに工夫しています」とした。
2人の講演会は3日、北海道文教大でも開かれた。