歴史を音楽と朗読劇で 銘菓「雁月」「泡雪」テーマにー白老

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  • 2019年9月14日
白老の銘菓をテーマにした音楽の演奏と朗読が繰り広げられた

  明治期の白老で誕生し、長く人々に親しまれながらも約60年前に姿を消した和菓子「雁月」(がんづき)と「泡雪」(あわゆき)をテーマにした演劇「雁月☆泡雪」が12日、白老町コミュニティーセンターで上演された。モンゴルの民族楽器・馬頭琴などの演奏と朗読で伝える”幻の銘菓”の物語に来場者が耳を傾けた。

   演劇上演は飛生芸術祭(飛生アートコミュニティー)の一環。後志管内蘭越町の劇作家渡辺たけしさんが「雁月」「泡雪」の歴史を掘り起こし、音楽と朗読の劇を創作。道内を拠点に朗読と音楽のライブ活動を続ける嵯峨治彦さん、と嵯峨孝子さん、俳優の小林なるみさんが出演した。

   物語の始まりは、40年前の苫小牧民報に掲載された1枚の古いモノクロ写真。1955(昭和30)年ごろ、菓子売りの木箱を首から下げ、白老駅前にたたずむ村上商店の店主、故村上親造さんを捉えた写真を基に、「雁月」「泡雪」の歴史やエピソードを織り交ぜたストーリーを展開した。

   二つの和菓子は明治時代、白老駅近くにあった村上商店が製造販売を始め、白老駅で立ち売りして人気を集めた。2代目に続き、3代目親造さんが戦後も伝統の駅売りを守ったものの、40歳代の若さで病死。間もなくして60(昭和35)年、町民に惜しまれながらも販売を中止した。

   新聞記事や関係者からの聞き取りなどで構成し創作した物語には、親造さんが駅前で「雁月~、泡雪~」と独特のイントネーションで菓子を観光客、町民に売り込んでいた様子なども登場。銘菓は姿を消したものの、2009年、地元商店街が半世紀ぶりに復元して試験販売し、関係者や町民を感動させた場面で物語が終わった。

   心に染み渡る馬頭琴やギターの優しい音色が流れる会場で銘菓の味を懐かしみ、観光ブームに沸いた高度成長期の白老を思い出しながら朗読を聞き入る町民の姿も見られた。

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