最大震度7を観測し、災害関連死を含め44人が亡くなり、51人が重傷を負った胆振東部地震の発生から6日で1年を迎えた。最も大きな被害を受けた厚真町では、地震発生と同じ時刻に役場前で町職員や商工会関係者など地元有志が黙とう。町内吉野地区に設置された献花台にも親族や町民らが集まり、亡くなった人たちに祈りをささげた。
町役場前では、1年前に地震が起こった午前3時7分に合わせ、町民有志が黙とうセレモニーを行った。未明にもかかわらず、町職員ら約100人が参列。庁舎正面玄関前の木の周りに町内で犠牲になった37人分のろうそくを並べ、静かに黙とうをささげた。ろうそくが入った紙コップの外側には「頑張ろう厚真」「みんなが笑顔でいられますように」などのメッセージが記され、追悼の思いを込めて献花台に白菊を手向けた。
宮坂尚市朗町長は「改めて亡くなられた方々のご冥福を祈ると共に、歩んできた人生をわれわれが受け継ぎ、次の世代にバトンを渡していく。これから厚真町が輝きを取り戻すためにお祈りをさせていただいた」と話した。
土砂災害現場の町内吉野地区に設置された献花台でも、地震発生時刻から午前9時ごろまでに町民ら約10人が訪れて手を合わせた。
午前3時すぎに手を合わせに来た同町富里の農業、伊部義之さん(51)は「地震で30年来の友人を失った。当初はここに来るつもりはなかったんですが、なぜか目が覚めて…」と涙を浮かべながら語った。
吉野地区で砂防ダム工事を請け負っている50代の建設作業員は午前6時半ごろに訪れ、「安らかにと声を掛けた。厚真町の人たちが一日も早く生活を取り戻すことができるように作業に当たりたい」とし、 町内宇隆の森田正司(ただし)さん(84)は「多くの友人を亡くして本当に残念。このような惨事は二度と繰り返したくない」と話した。
厚真町では宮坂町長らが役場前で献花したあと、正午のサイレンに合わせて黙とうした。このほか、苫小牧市などでも正午の消防サイレンを合図に黙とうを行った。
安平町では午前中に134人が参加し、地震を想定した防災訓練を実施。町民の防災意識を高めた。
厚真町では、午後4時から町内の専厚寺で一周忌追悼法要、7日午前10時から追悼式を執り行う。安平町でも6日午後2時から復興祈念式典を開催する。