恵庭市はこのほど、認知症について学ぶ講演会を恵庭市民活動センター(えにあす)で開いた。北広島メンタルクリニック院長の穴澤龍治さんが、認知症の症状や当事者への対応のポイントなどを分かりやすく解説した。
今年度初の介護予防講演会として実施。長寿大学の受講生と一般聴講者合わせて約110人が集まった。
穴澤さんは、認知症にはアルツハイマー型や血管性認知症など複数の種類があり、必ずしも記憶障害が強く現れるとは限らないことを説明。不安やうつ、徘徊(はいかい)、被害妄想といった周辺症状は病状の進行度と比例せず、認知症を発症しても、投薬で進行を遅らせることができるとした。
WHO(世界保健機構)が提唱する罹患(りかん)リスクを下げる方法として、適度な運動や高血圧の治療、禁煙を挙げた。認知症の早期発見の目安として、「財布を盗まれたなどと言う」「話のつじつまが合わない」などを示した。
穴澤さんは「年だからという思い込みを捨て、ためらわず精神科など専門家に相談して。問題ないと言われても、おかしいと感じたらセカンドオピニオンを求めて」と呼び掛けた。本人が受診を渋る場合は、診察の付き添いを頼むふりや、不眠などの症状を診てもらうなどの口実をつくることも有効とした。
認知症の患者を支える家族が悩みを抱え、うつ病になるケースも少なくないとし、自助グループへの参加や地域の保健師、ケアマネジャーに相談することも大切と語った。