旭川大学の学生有志でつくる震災ボランティアサークル「CROSS(クロス)」が2、3の両日、厚真町豊丘地区で行われた豊丘天満宮秋季祭典に運営側で参加した。当日の運営スタッフとして地域のイベント盛り上げに一役買ったほか、準備から片付けまで一通りを手伝い、学生の「若い力」を胆振東部地震で大きな被害を受けた町に注いだ。
今回参加したのは、1年生の8人。2日の朝から住民の手ほどきを受けながらしめ縄づくりややぐらの設置をはじめ、会場の設営に汗を流した。初めて厚真町に来た高橋侑花さん(19)は「しめ縄づくりは力が必要で難しかったが、楽しかった。設営に関わり、いろんなことがどんどん動いているのが見えてよかった」と達成感を語る。宵宮祭が始まると、今度は焼き鳥販売や子ども縁日の手伝い。ステージで自己紹介したほか、パフォーマンスを披露して会場を沸かせた。
同大が厚真町と関わりを持つようになったのは、1年前に保健福祉学部コミュニティ福祉学科の授業で学生が豊丘地区で聞き取り調査を行ったのがきっかけ。その後、地震があったことを受け、昨年11月にはクロスのメンバーが住民たちに元気になってもらおうと、豊丘地区で餅つき会を開催した経緯もある。
メンバーは来町に合わせて被害の大きかった吉野地区の現場なども視察。哘崎(さそざき)健さん(18)は実際の状況を目の当たりにし、「鳥肌が立った。痕跡を見て改めて地震の怖さを知った」と振り返り、菊澤明日奏さん(18)は壊れた家屋を前に「そこにあった物がなくなっている。怖いな」と驚きを隠さなかった。
学生リーダーの若栗貴幸さん(18)は6月の田舎まつりに続いての来町。「震災で被災した中で頑張って活動している。僕が笑顔にできることはないかと思って、ここに来た」と言う。自治会長の山路秀丘さん(65)は「われわれも元気をもらえる。都会で育っている子が多いと思うが、ここで地域のつながりを強く感じてもらえれば」と快く迎え入れた。
サークルの顧問でもある同大保健福祉学部コミュニティ学科の大野剛志准教授(43)は「今後も定期的に足を運んで、厚真との関わりをつなげていきたい」と構想を練る。今回初めての参加だった横野花苗さん(19)は「厚真の人と、もっと交流していろんなことを聞きたい」と意欲を口にしていた。