千歳市消防本部と陸上自衛隊第7師団はこのほど、空港の化学テロを想定した救助、除染活動などの共同訓練を市防災学習交流センター「そなえーる」で実施した。9月のラグビーワールドカップや2020年の東京五輪・パラリンピックなど国際的行事の開催が道内でも予定される中、双方の隊員計約90人が万が一の事態への迅速な連携対処を確認した。
両機関の共同訓練は17年以来、2年ぶり3回目。今回初めて想定場所に空港を選び、旅客ビル内のトイレから化学物質サリンが拡散した設定を隊員に伏せて行った。
訓練では千歳消防が到着後、汚染源からの距離に応じて3段階の警戒区域を設定。救助隊員が化学物質を通さない特殊な防護服を着用し、ビルに見立てた館内に入った。吐き気や呼吸困難などを訴える要救助者役を屋外へ運び出しながら、汚染源とみられる液体に検知紙を浸し、有毒物質と確認した。
災害派遣要請に基づき到着した陸自の第7化学防護隊は有毒物質を特定。除染薬剤を散布し、消防の救出活動に加わった。屋外では大型テントを設営し、要救助者役に水を吹き掛けて除染。除染後、消防が救護テントで応急処置を施した。
市消防署の鈴木浩之署長は「自衛隊との連携を強化できて有意義な訓練だった。地元の消防力だけでは限界があり、今後も訓練を続けて、テロ災害への対応力を高めたい」と振り返った。同隊の小田義広隊長も「互いの装備や動き、技術などを確認できた。双方の連携方法をより強化したい」と語った。