アメリカのバイデン大統領が21日、選挙戦から撤退する考えを表明した。先月のテレビ討論会で声がかすれたり、言葉に詰まったりと適性に疑問符が付き、民主党内の撤退を求める声の高まりに抗し切れなかったとされる。一方のトランプ前大統領は、銃撃を受けたが致命傷を免れ、支持者が「神に選ばれた」と話すのをテレビのニュースで見た。神格化が進んでいるという。しかし、トランプ氏の銃撃事件では1人の聴衆が亡くなっている。その聴衆も、パレスチナのガザ地区で殺される子どもたちも、神に選ばれなかったというのか―。他国の大統領選とはいえ、複雑な思いにとらわれる。
パリでは五輪・オリンピックの開幕を26日に控え、まち中が盛り上がりを見せている。夏の大会としては初めて競技場の外で開会式が行われ、選手が船に乗ってセーヌ川をパレードする予定だ。一方で、テロを警戒して約4万5000人の警察官が警備に当たるという。
世界中の人たちが集い、交流し、五輪精神である友情や連帯を育む―。東京では決して経験できなかった観客の大声援を出場選手には味わってほしい。そして世界中に暴力がまん延する中、パリが「平和の祭典」の輝きを取り戻せるよう願ってやまない。(吉)