政府は3日、地方創生に関する有識者会議を開き、今後10年間で集中的に取り組む「基本構想」の原案を示した。東京圏から地方への人の流れをつくり出すため、地方に転出する若者の割合を倍増する目標を設定。地方の担い手不足が深刻化する中で、国の成長率を維持し、持続可能な社会を目指す考えを打ち出した。
構想は、石破政権が看板政策に掲げる「地方創生2・0」の実現に向け、2034年度末までの10年間が対象。今月中旬にも閣議決定する。
原案では「人口減少が進む中でも、都市も地方も、安心・安全に暮らせる持続可能な社会を創っていく必要がある」と指摘。15~29歳の若者が、東京圏から地方へ転出する割合を24年の「2・5%」から、34年度末までに「5%」とする目標を掲げた。具体的な政策として、農林水産業や自営業、医療福祉に従事する「エッセンシャルワーカー」などの地方移住を支援する。
また、住民票がある自治体以外の地域に継続的に関わる「関係人口」を実人数1000万人、延べ1億人とする目標を示した。関係人口を「見える化」する仕組み「ふるさと住民登録制度」を創設し、都市と地方の人材交流を図る。
住民が公共交通機関による移動手段の確保が難しい「交通空白」地区の解消に取り組む市町村を「10割」とする目標も設定。誰もが不自由なく暮らせる地方を整備する。買い物環境や医療、介護サービスの維持についても全自治体で取り組むよう明記した。