償還金95億円、使用見込みなし震災支援事業、中小機構が返納 検査院

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  • 2025年6月4日

 独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が実施する東日本大震災で被災した中小企業の支援事業で、国の出資金を使って企業に貸し付け、その後返済された約95億円が、再び使用される見込みがないまま機構に残っていたことが3日、会計検査院の調査で分かった。

 検査院の指摘を受け、機構は昨年11月、全額を国庫に納付するとともに、今後発生する償還金は年度ごとに国庫に納める方針を決めた。

 機構は2011年8月、北海道と青森、岩手、宮城、福島、千葉各県の中小企業に対し、被災した店舗などの復旧費用を各道県などを通じて無利子で貸し付ける事業を開始した。

 検査院は、13年4月までに同事業のために国が追加出資した計500億円について調査。その結果、貸し付け後に償還された金のうち、95億746万円が機構に残っていた。独立行政法人通則法は、業務を実施する上で不要となった財産は遅滞なく国庫に納めるとしているが、機構は17年5月、償還金は再使用する可能性があると判断していた。

 これに対し検査院は、新たな貸し付けが必要になっても、機構が持つ既存の財源で対応できると結論付けた。機構は「検査院の指摘を真摯(しんし)に受け止め、継続して必要な対応を行っていく」としている。

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