【ソウル時事】韓国の革新系政党「共に民主党」の李在明氏(60)が4日、第21代大統領に就任した。3年ぶりに保守系から革新系に政権交代した。李氏は同日未明(日本時間同)、ソウルの国会前で大統領選の勝利を宣言し、「国民を統合させる大統領としての責任を決して忘れない」と演説。尹錫悦前大統領による「非常戒厳」宣言以降に深まった国民の分断の解消を約束した。
中央選挙管理委員会による大統領選の開票は終了。4日、当選者を確定させ、李氏の5年の任期が始まった。非常戒厳以来の混乱に一区切りついた形で、李氏は今後、停滞した外交、経済など山積した課題に取り組む。共に民主党は国会の過半数を占め、尹政権を苦しめた国政のねじれが解消。李氏は強力な権力基盤で国政運営に当たる。
李氏は演説で「私に与えられた最初の使命は内乱を克服し、二度と軍事クーデターがないようにすることだ」と述べ、「民主主義の回復」を訴えた。さらに、「経済を活性化し、国民生活を回復させることに全力を尽くす」と強調。北朝鮮については「対話を通して南北が共存し、共に繁栄する道を探す」と語り、尹政権下で高まった緊張の緩和に努める考えを示した。
李氏の最終の得票数は1728万7513票で、得票率は49・42%。続く保守系政党「国民の力」の金文洙前雇用労働相は1439万5639票で41・15%だった。
李氏は4日午前、軍合同参謀本部議長に万全の警戒態勢の維持を指示した。就任式に臨んだ後、首相人事の発表などを行う見通し。韓国メディアによると、首相には、李氏の側近で共に民主党の金民錫最高委員、大統領府秘書室長には姜勳植議員が内定した。
金民錫氏はソウル大卒で、1980年代の民主化で学生運動家として活動した当選4回のベテラン議員。大統領選では李氏陣営の常任共同選対委員長を務めた。通常約2カ月の政権引き継ぎ期間がないことから、李氏の考えをよく理解している信頼の厚い人物を起用するとみられる。