中高年向けファッション人気/さりげなく    体形カバー

  • MA, シニア
  • 2025年6月6日
夏向け衣類を紹介する「ハルメク おみせ 神楽坂本店」の店長=5月、東京都新宿区神楽坂
夏向け衣類を紹介する「ハルメク おみせ 神楽坂本店」の店長=5月、東京都新宿区神楽坂
ファッションで気分も明るく(ヨウカ提供)
ファッションで気分も明るく(ヨウカ提供)

 夏向け衣類を紹介する「ハルメク おみせ 神楽坂本店」の店長=5月、東京都新宿区神楽坂 若い頃とは体形が変わり、以前着ていた服が着られなくなった―。中高年のこんな悩みをデザインの工夫でさりげなくカバーし、おしゃれな着こなしができるファッションが人気を集めている。

 「若い人と同じ服じゃ似合わないけど、いかにもおばあさんという服も着たくない。『こういう感じの普段着がほしいな』というのが、このお店にはちょうどある」。5月、東京・神楽坂で50代以上の女性向け服飾品を販売する「ハルメク おみせ 神楽坂本店」を訪れた常連客の大山はるみさん(68)が、試着したズボンを手にこう話す。「シルエットが中高年向きで気に入っているの」。

 同店などを展開する「ハルメク」のデザイナー、イソヤエリコさんは「体重は変わっていないのに体形が変わった、という悩みをよく聞く」と言う。50代以上になると、腰が曲がる、肩や首が前に出る、下腹部が出る、バストが下がる、首元やおしりが痩せる―といった体形の変化を経験しやすい。

 同社では、体形をカバーする機能性とファッション性を両立させるため、デザインなどを工夫。股の内側に大きくマチを入れて立体的に脚を包み込むことで動きやすく、おなかから下をすっきり見せるズボンや、首元のしわを自然に隠せる「バンドカラー」タイプの襟を取り入れたシャツ、ブラウスなどが特に人気という。

 生地の軽さや縫い代にもこだわった。「重いとそれだけで敬遠されるので、Mサイズのズボンで500グラム以下が基準」とイソヤさん。敏感肌の人にも着てもらえるよう、「縫い代はすっきりさせ、なるべく肌に当たらないようにしている」。

 60~70代に特化したファッションブランド「YOUKA(ヨウカ)」を展開しているトリニティ(兵庫県西宮市)は、70代のデータを基に、シニアの体形に合うオリジナルのサイズを開発。配色にもこだわり、「年齢を重ねたからこそ似合う、きれいではっきりとしたビビッドな色使い」の服をネット販売している。

 もともと、高齢者向け福祉用品の販売を行っていたが、社長の添田優作さんが多くの利用者と接する中で「出歩く機会が減ると心身ともに老け込んでしまい、介護リスクが上がるケースが多い」と感じ、「外に着ていきたくなる服を作れないか」と考えたのがきっかけ。「明るい色のシニア向け衣類が少ない」との声を受け、気分が明るくなるようなカラーをそろえた。添田さんは「今の60、70代は若い頃にファッショントレンドを作ってきた世代。これからも、かっこいいファッションを楽しんでほしい」と話している。

 ファッションで気分も明るく(ヨウカ提供)

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