改正された1本の法律が19日に成立した。改正政治資金規正法だ。自民党が派閥による裏金事件を受けての対策の一つだが、突っ込みどころ満載で野党は「抜け穴」ぞろいとこぞって批判し、そればかりか国民の理解も到底進んでいるとは言えない。自民党は何をしたいのか。
いわゆる「政治とカネ」に当事者の自民党がどう向き合うのか。そこが最大の焦点だったが、期待はもろくも崩れた。パーティー券の購入基準は20万円から5万円に下げたが、これも複数回のパーティーなら問題はなく、まさにザル。うがった見方をすれば、国からの補助金や公共事業を請け負う企業からの購入を隠したいのかと思ってしまう。
民主主義や政治にコストはかかると政治家は口をそろえるが、では減らす方法はないのかを議論したのか。例えば秘書の人数やスタッフの数を制限するような検討はまったくされていない。もう30年も前に与野党で合意している企業団体献金の禁止は、今回も簡単に見送られた。
熱い火の粉の上も歩いてしまえば、時が熱さを忘れさせてくれる。国民の怒りも政権与党には通じなかったのか。「国民の信頼回復のため、火の玉になって取り組む」。半年前の宰相のあの言葉は今となってはむなしさだけが残る。(昭)