顧客や利用者が、店員や職員に威圧的な言動を繰り返すカスタマーハラスメント(カスハラ)が問題になって久しい。大声で同じ苦情を長時間繰り返したり、社長を出せと騒いだり。官庁の窓口でも対策に悩んでいる―との報道がある。
大声だけでなく、時代とともに手口が変わる。最近は携帯電話で担当者の写真を撮ってインターネットへの投稿をにおわせる手口もあるという。防衛策も時代に合わせて変わる。役所は窓口の電話に録音装置を付けたり職員の個人情報を守るため、名札の姓名を、姓だけにする例も増えているとか。嫌がらせを苦にした退職や自殺もあって、安心して働ける職場づくりは人手不足の時代の大きな課題だ。「加害者」の中心的な世代が社会経験の少ない若い世代ではなく、50~60歳代―とのテレビ報道にも驚かされた。
東京都は全国に先駆けてカスハラ禁止条例制定に向けて作業を始めた。先日は道議会自民党会派が条例制定に向け他会派との調整に動き出したとの報道も。
唯一の得意技だったはずの頑健が加齢に敗れ、複数の医療機関に定期的に通う立場になった。行きつけの病院の待合室や診察室付近にも「暴力・暴言お断り」のポスターが貼ってある。自分の礼儀の水準は、常識は―。改めて考える。(水)