白老町は3日、台湾の花蓮県(かれんけん)秀林郷(しゅうりんごう)と友好交流推進協定を締結した。調印式は町役場と台湾をオンラインでつないで行い、平等互恵の立場で教育、伝統工芸、芸術、観光、産業など幅広い分野で交流を進めることを取り決めた。
秀林郷は台湾中央山脈の東側に位置する花蓮県の北部の村で構成された郷(行政区)。人口は白老町とほぼ同規模の約1万5500人で、先住民のタロコ族が9割を占める。
協定は計4条あり、平等互恵の立場で、多岐にわたる分野で友好関係を構築することが盛り込まれている。「国立の先住民族文化復興拠点がある白老町と交流を深めたい」という秀林郷の提案を、同町が受けて締結に至った。
台湾と同町は、民間主体で親睦交流を重ねてきた。10年以上前にはアイヌ民族博物館(現国立アイヌ民族博物館)が台湾原住民委員会の要請を受けて訪台。タロコ族との交流を深めた。2014年には白老日台親善協会が発足し、台湾親善旅行を実施。15年には台湾でアイヌミュージアムフェアin台湾が開催されたほか、アイヌ民族博物館と台湾国立博物館「台湾行政院原住民文化園区」が博物館協定を締結している。
調印式は、秀林郷の王玫瑰郷長らのほか、台湾の大使館に当たる東京・台北駐日経済文化代表処の謝長廷駐日代表などをつないで行い、計20人ほどが参加した。
王郷長は「郷が誇る自然とタロコ族の文化を生かし、両郷町のますますの交流と新たな外交視野を広げていきたい」と述べた。戸田安彦町長は「コロナウイルスの感染状況が落ち着き次第、教育や観光分野で交流したい。子どもたちが異文化に学ぶ意義は大きい」と話した。
謝駐日代表は「二つの先住民族文化復興拠点が手を取り合ったことは、とても意義深い。締結を機に台日の結び付きが強まり、観光、文化、青少年交流が深まっていくことを期待する」と話した。
先住民族間の交流によって国際的な友好交流協定を自治体間で結んだのは、白老町では初めて。