白老町の町民やアーティストでつくるウイマム文化芸術プロジェクト実行委員会(星貢委員長)は、旧社台小学校近くの海岸沿いで8月下旬に始める屋外写真展の準備を進めている。昭和時代に社台で撮った写真を拡大し、建造物の壁を使って展示する取り組み。虎杖浜地区で同様の写真展を昨年の8~10月に開いており、今年は社台でも展開する。
両地区での写真展は、8月27日に町内で開幕する芸術祭「ルーツ&アーツしらおい 白老文化芸術共創」の一環で、同日から10月10日まで開催する。
社台地区では、昭和時代の社台で漁にいそしむ町民らを捉えた写真を、11カ所の建物の壁に展示する。大きいもので約9・1メートル×約4・7メートルあり、ほかの写真も巨大だ。
展示作業は23日に始め、好天のうちにめどを付けようと、参加したボランティアスタッフ10人は終日、急ピッチで進めた。掲げる写真は町大町の自営業、村上英明さん(53)が昨年、父親の和義さん(81)とも親しい知人の70代男性から譲り受けた。若い時に撮影した写真のデジタル化を依頼されたことがきっかけで、屈託のない笑顔でおにぎりを頬張る男性や、船に乗って漁に出ていく漁師の姿などが写っている。
実行委メンバーでプロジェクトのディレクターの木野哲也さん(44)は「虎杖浜に残る写真には、水産品の加工作業などをしている女性が写っているものが多いが、社台に残る写真には男性が多く写っていて対照的」と魅力を伝える。写真展については「町民が当事者になって自分のまち、文化、歴史を共に生き、共に創る。そんな思いを多くの方と共有していきたい」と意義を語り、英明さんは「当時を知らない子どもたちには新発見、当時を知る人には再発見になる。写真展が世代を超えて地域の歴史を共有する機会になれば」と目を細めた。
虎杖浜地区では、昭和時代に同地区で撮られた写真を15カ所程度に20点余り展示する予定。昨年の作品のほか、新作も加わるという。