関西圏でフィットネス、リハビリなどの事業を展開するクーバル(本社大阪府)は、厚真町に人材派遣型の企業版ふるさと納税として事業費267万円を寄付し、同社から社員の関西葵さん(32)を派遣した。関西さんは介護予防推進員として、多様化、複合化する健康増進ニーズに対し、長期的な視点で対応していくための体制やネットワークの構築を手掛ける。「クーバルでの経験を新しい環境で発揮し、地域社会に貢献していきたい」と抱負を述べた。
人材派遣型の企業版ふるさと納税では、専門的な知識、ノウハウを持つ企業の人材を地方公共団体などへ派遣し、地方創生の充実・強化を図る。企業側が人件費相当額を含む寄付をするので、公共団体は実質的な費用負担をせず、民間の力を活用して課題解決を進められる。企業側には、寄付額の最大9割に相当する税額控除を受けることができ、地域貢献や人材育成の場を設けることができるメリットがある。
今回派遣された関西さんは鹿児島県出身。同社では大阪府や兵庫県でフィットネスクラブの新店舗立ち上げに関わってきたほか、利用者のトレーナー的な役割を担ってきた。
厚真町には今月1日付で住民課に配属され、介護と健康増進、町主導の事業と社会福祉協議会やNPO、ボランティア団体が独自に行う取り組みを融合させていくネットワークの構築に取り組んでいく。任期は来年3月末まで。
同社の井上善博会長らが8日に町役場を訪れて目録を贈呈し、「地方で活躍する人が増える社会づくりのきっかけになれば」とあいさつ。関西さんは「プレッシャーはありますが、光栄。介護予防への取り組みと(シニア層が)運動に参加しやすい環境づくりをしていきたい」と意欲をうかがわせた。
宮坂尚市朗町長は「専門性の不足が課題となっていた中で、都市部のビジネス分野で培った経験やノウハウを(厚真町で)活用してもらいたい。目に見える手応えと納得感を得てもらえたら」とエールを送った。