白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の中核施設の国立アイヌ民族博物館は2日、開催中の特別展示「CHIRI MASHIHO 知里真志保―アイヌ語研究にかけた熱意」でギャラリートークを行った。参加者約20人は、アイヌ語研究に懸けた真志保の足跡を学芸員の解説や展示史料から学んだ。
知里真志保は「分類アイヌ語辞典」や「地名アイヌ語小辞典」を編さん。口承文芸や文化史に関わる論文を数多く残し、言語学、口承文芸、民族学、歴史学の研究において、後世に大きな影響を与えた。
特別展は、真志保の人生や関わりのあった人物、アイヌ語研究など6章立てで構成。写真や日記、書簡、書籍などの史料約200点を並べている。
同館の職員が特別展の見どころを解説するギャラリートークでは、アイヌ語研究の第一人者である金田一京助と真志保の兄弟子、久保寺逸彦との関係を紹介した。十勝管内広尾町から訪れた30代の女性会社員は「アイヌ語と真志保は断片的な理解にとどまっていたが、参加してみて理解がつながった思いがする。もっと勉強したい」と話していた。
観覧料は大人300円、高校生200円、中学生以下無料。この他にウポポイ入場料が必要となる。入場はオンラインによる事前予約制。詳しくはウポポイのホームページ(https://ainu-upopoy.jp/)。
関 連 行 事
《講演会》いずれも午後1時半~(当日受け付け、先着順)
◆16日「知里真志保と久保寺逸彦―アイヌ(の)文学」(中川裕・千葉大学名誉教授)
◆17日「言語学からみた知里真志保の業績―アイヌ語の「動詞価」をめぐって」(佐藤知己・北海道大学教授)
◆18日「知里真志保の生涯―まわりの人々・登別での地名調査」(小坂博宣・登別アイヌ協会顧問)
◆30日「知里真志保が考えたこと―高校時代の日記からアイヌ文化史へ」(マーク・ウィンチェスター・国立アイヌ民族博物館アソシエイトフェロー)
◆8月11日「知里真志保の調査・研究の足跡」(田村将人・国立アイヌ民族博物館資料情報室長)
《イベント》
◆23、24日午前10時~、ホリデーイベント「植物と暮らし紹介~コタンの樹木案内」第4回特別展示知里真志保展拡大版(要予約、先着順)※ウポポイ内およびポロトの森散策
◆8月13、14日午後2時~、夏休みの子ども向けイベント「言語学者になってみよう」(当日受け付け、先着順)
◆8月20日午後1時半~、職員によるギャラリートーク「知里真志保を描くウタリ」(当日受け付け、先着順)
※毎週月曜日(祝日または休日の場合は翌日以降の平日)と7月19日は休館