飼料穀物と肥料にリスク 食料供給「近年にない厳しさ」―農水省

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  • 2022年6月21日

  農林水産省は21日、日本が必要とする食料の安定供給を脅かすリスクを分析した最新の検証結果を公表した。家畜の餌となるトウモロコシなど輸入に頼る飼料穀物の価格高騰、農産物生産に必要な肥料原料の調達難を「重要なリスク」と分析。コロナ禍に伴う供給網の混乱とロシアのウクライナ侵攻の影響を挙げ、国内の農林水産業や食品産業は「近年に例を見ないほどの厳しい環境下にある」と懸念を示した。

   検証結果は、食料安全保障の確立に必要な政策を立案するための基礎資料で、2015年から公表している。農水省は今年2月「食料安全保障に関する省内検討チーム」を設置しており、対策の検討を急ぐ。

   農水省はリスクとして洗い出した25種の要因を分析し、発生の可能性が高く、安定供給への影響が大きいものを「重要なリスク」と定義した。国内生産では、野菜・果実の生産、畜産と漁業などで「労働力不足・後継者不足」を指摘。野菜、茶、漁業、きのこ栽培などでは経営費に占める燃料費の割合が高く、「燃油の価格高騰」を挙げた。

   20年度の食料供給(カロリーベース)のうち、国産で賄えたのは37%で、残り63%は輸入だった。輸入先の上位4カ国は米国(依存割合23%)、カナダ(11%)、オーストラリア(8%)、ブラジル(6%)。農水省は、国産化の推進と輸入先との関係維持が必要不可欠と強調した。

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