厚真高校(清水美由紀校長)で17日、キャリア教育講演会が開かれ、生徒たちは地元や都市部で活躍する3人の講師から、働くことの苦労や喜びなどそれぞれの体験談を聞いた。
町内の伝平さんの畑で働く菅原文子さん(63)は厚真町に来るまでに空知管内南幌町の町議を務めたり、結婚後に米国で働いたり、妊娠・出産期を除いて多くの職種に就いてきた。菅原さんは「仕事の経験やその時々に出会った方々が今の私につながっている」と説明。「多くの仕事に就いて経験を積む、あるいは一つの仕事を極める。自分自身で決めることもあるし、時には誰かに助けてもらうこともある」とし、「その時は無駄だと思っても、人生において無駄ということは一つもない」とアドバイスした。
同じく伝平さんの畑に務める近藤一郎さん(43)はえりも町長選で落選し、無職となった後に大学院で勉強したエピソードから「失敗や挫折はある。でも、やり直し(学び直し)の機会もあると思う。好きなこと、やりたいことがある人は勇気を持ってチャレンジを」と呼び掛けた。
サッカーJリーグ・北海道コンサドーレ札幌の職員として働く山田雅志さん(42)は、さまざまな職業を経験する中で出会った人との縁で今の仕事に就いたことを明かし、「結局は人と仕事をする。会社は選べても人は選べない」と語った。新型コロナウイルス感染拡大のため集客で苦戦を強いられたが、「このコロナ禍が、コンサドーレがより一致団結するきっかけになった」と振り返った。
同校は卒業後に就職を希望する生徒が多く、生きる力を身に付ける一助にと講演会を開催している。3年生の成田光汰さん(18)は「3人とも転職を繰り返したが、それでも無駄ではなかったと言える生き方をしている。これからの進路選択に自信を持つことができる」と話していた。