地域住民 複雑な心境 「寂しい」「残念」「仕方がない」 穂別高25年度募集停止

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  • 2022年6月8日

 道教育委員会が7日に公表した2023~25年度の公立高校配置計画案で、むかわ町の穂別高校が25年度で入学者を募集停止することが示されたことを受け、地域住民や関係者から「寂しい」「残念」という声が上がっている。同校は在校生の指導や来年、再来年にある入学希望者の受け入れに全力を注ぐことを誓い、ニーズに応えていく考えだ。

 同校は1951年に当時の穂別村で、村立高校(定時制)として開校。定時制課程1間口でスタートし、53年に全日制課程が設置され、63年に道立高校となった。また、近くに町立の生徒寮「穂星寮(すいせいりょう)」があり、町外からも多くの生徒を受け入れ、在校生が400人を超える時期もあったという。

 しかし、近年は少子化に加え、地元の中学生が苫小牧市や札幌方面、町内の鵡川高校に進むことが多くなり、入学者数が減少。「地域連携特例校」に指定され、再編整備を保留されていたが、直近では2年連続で入学者数が1桁となり、現在の在校生は3学年合わせて24人にとどまっている。

 町内の会社員、早瀬千佳さん(40)は「若い生徒たちの元気な姿が見られなくなるのは寂しい」と落胆する。イベントなどを開催する際には高校生がボランティアで協力してくれることも多かったと言い、「元気な町であるはずのむかわ町穂別に、次の世代を担う子どもが少なくなっていることも原因にあるのか。いろいろと考えさせられる」と複雑な心境を語る。

 同校の卒業生で厚真町内で働く西巨人さん(40)は「母校がなくなるのは残念だ」と話す。ただ、少子化の影響もあって穂別地区にあった小学校や中学校が次々と閉校になってきた現状も目の当たりにしてきた。西さん自身も子どもの頃に通っていた小、中学校がすでになくなっており、「仕方がないのかな」と言う。

 25年度に募集停止する案が示されたことについて、同校の岩瀬均校長は「われわれも重く受け止めている。同窓生や今まで携わってきた方たちに対して心苦しく、申し訳ない気持ち」とコメント。来年度、再来年度の入試があることに言及し、「2回ある入試に全力を尽くしたい。今いる子どもたち、これから入学してくる子どもたちを3年後にしっかり送り出せるようにやっていこうと、教職員と意思統一を図った」と話していた。

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