政府は3日の閣議で、2021年度の水産白書を決定した。国産魚介類の消費減少に歯止めがかからない一方、輸入品の消費量は横ばいで推移している状況を紹介。魚介類の自給率引き上げを目指す中、国産品の需要拡大に向け生産や販売面で「消費者ニーズを踏まえた施策の展開」を課題に挙げた。
白書によると、1人当たりの魚介類の年間消費量は01年度の40・2キロをピークに減少が続き、20年度は23・4キロまで落ち込んだ。価格の高さや調理に手間がかかることなどが要因という。
ただ、輸入魚介類の年間消費量はここ10年間10キロ前後で推移しており、大幅な落ち込みは見られない。サーモンやマグロなど調理が簡単で人気が高い魚は輸入に依存していることが背景にある。
政府は、食用魚介類の自給率を32年度に現状の57%から94%に引き上げる目標を掲げる。水産庁は、ウクライナ情勢を受けサーモンの入荷が滞ったことなどを念頭に、食料安全保障を強化するためにも「(食用魚介類の)国産化を進めることが重要だ」と指摘している。