【ソウル時事】韓国で1日、先月10日に発足した尹錫悦政権の行方を左右する統一地方選が行われ、与党「国民の力」が圧勝した。与党は国会では少数派で、野党の協力が必須。与党が大統領選に続いて勝利したことにより、最大野党「共に民主党」は守勢に回る見通しで、日韓関係改善を含め山積する国政課題推進に後押しとなる。
焦点となった首都ソウルなど17の知事・広域市長選のうち、与党が12カ所で勝利した。尹氏は2日午前、報道官を通じ「選挙結果は、経済を良くし、暮らしにもっと気を配れという国民の意思だと受け止めている」と述べ、経済対策に全力を尽くす考えを示した。
共に民主党は支持基盤の全羅道地域など5カ所を押さえたのにとどまる惨敗。大統領選で尹氏に僅差で敗れた同党の李在明氏の後任を選ぶ京畿道知事選は、大統領選の再戦と目される中、同党候補が接戦を制し、一矢を報いた。
2018年の前回地方選は共に民主党が圧勝。今回は「政権交代を完成させる」と訴えた与党が雪辱を果たした。安定した国政運営を期待して尹氏を後押しする有権者心理が強く働いたもようだ。就任直後のバイデン米大統領訪韓も与党にプラスになったとみられる。
一方、「暴走する尹大統領をけん制する野党が必要だ」と主張した共に民主党は、前政権末期に検察の捜査権を縮小する法改正を強行したことが批判された上、発足間もない尹政権への攻め手に欠いた。
党指導部の総退陣は必至。李在明氏は同時に行われた国会議員補選で当選したが、総括選対委員長として地方選の責任を問われる見通しだ。李氏は2日未明、「国民の痛烈な叱責と重い警告を謙虚に受け止める」と語った。党内は親李派と親文在寅前大統領派に二分されており、今後、責任をめぐって分裂含みの混乱に陥る可能性がある。