町民主役の森づくり 管理運営協 町にプラン提出 萩の里自然公園 白老

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  • 2022年5月30日

 白老町立萩の里自然公園(町萩野)を管理、運営する住民主導の組織「萩の里自然公園管理運営協議会」(鈴木靖男会長)は27日、町役場を訪れ、戸田安彦町長に同公園の森づくりプランを提出した。ニーズの多様化やエゾシカによる食害、会員の高齢化などの課題を踏まえ、今後の公園管理の在り方を提案する内容。

 同公園は町のほぼ中央に位置し、丘陵地に広がる樹林や湿地から成る。東西に0・8キロ、南北に2・5キロ、面積は約160ヘクタール。1033種にわたる動植物が生息し、生物多様性が保たれている。2001年にセンターハウスがオープンし、利用者は年間約1万人。「100年単位の森づくり」「人と自然との共生」「心豊かな人づくり」を基本理念に、構想段階から町民が参加する形で運営されてきた。

 同プランには、生物多様性を重視した保全区域や二次林、人工林の特性を踏まえた森づくり区域―など、森林を役割ごとの5区域にゾーニングすることや、獣害防止計画、活動の承継などを盛り込んだ。

 鈴木会長(81)は「会員一同、古くから活動に携わってきた。ぜひ一読して今後に生かしていただければ」と戸田町長に冊子を手渡した。会員の中野嘉陽さん(82)は「萩の里に残る里山は自然と人の合作による環境。今後も『町民が主役』を柱に森づくり、手入れを継続したい」と話した。

 同公園は、東日本大震災を契機に津波の緊急避難場所に指定されたほか、13年以降は林野庁などが関わる森づくり活動が積極的に行われている。18年には町とアイヌ民族文化財団がアイヌ文化伝承などのため森林の活用に関する協定を締結し、2カ所0・5ヘクタールの協定地が設定されるなど役割やニーズは多様化している。

 一方、近年はエゾシカの食害など森林被害が拡大し、対策が急務であることに加え、協議会員の高齢化により、体力を伴う森づくり活動が難しくなっている。このため17年に協議会主導の検討会を組織し、今後の森林像を示す同プランの取りまとめを進めていた。

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