東京都は25日、防災会議(会長・小池百合子知事)を開き、首都直下地震などによる被害想定の見直し結果を公表した。都心南部でマグニチュード(M)7・3の直下型地震が発生した場合、都内の死者は最大で約6100人、揺れや火災による建物被害は約19万4400棟に上ると推計した。住宅の耐震化や不燃化の対策が進展し、2012年に公表した従来想定と比べ、被害を3~4割軽減できると見込んだ。
都は新しい想定を踏まえて、さらに被害を抑える方策を検討。地域防災計画を見直す方針で、年度内に素案をまとめる。
今回は、M7クラスの直下型地震と、南海トラフ地震などM8~9クラスの海溝型地震を想定。計5種類の地震モデルを使い、時間帯ごとに被害を算出した。
このうち最も被害が大きかったのが、都心南部を震源とするM7・3の地震が冬の夕方に発生するケース。23区の約6割の範囲で震度6強以上を観測する。死者の内訳を見ると、建物倒壊など揺れによるものが3666人、火災によるものが2482人。建物被害のうち揺れは約8万2200棟、火災は約11万2200棟だった。12年の想定と比べ死者は約3500人、建物被害は約10万9900棟減少した。
一方、これらの地震が日中に起きた場合、交通機関がまひするなどして自宅にたどり着けない帰宅困難者は約453万人発生すると試算。従来想定の約517万人から減少した。
南海トラフ地震については、揺れによる被害はほぼ生じない一方、式根島(新島村)で発生から約14分後に最大約28メートルの津波を観測し、伊豆・小笠原諸島で津波被害による死者数が約1000人に上ると推計。こちらも対策の進展により、13年に公表した想定の約1800人から減少した。