白老町在住のアイヌ民族文化伝承者、宇梶静江さん(89)が主演の映画「大地よ アイヌとして生きる」の完成記念上映会が21日、白老中央公民館で開かれ、町民ら約300人が鑑賞した。上映後は宇梶さんが講演したほか、アイヌ民族関係者が歌や演奏を披露した。
映画は、アイヌ民族として生き、その精神性を問い続けた宇梶さんの半生に迫る約90分の記録映像。2017年に製作を開始し、今春完成した。白老町を皮切りに全国各地で上映される予定だ。
上映後の講演で宇梶さんは、国の同化政策で伝統の暮らしを失った同胞やこれからを生きる若い世代に心を寄せ「大地に帰っていった先人の痛み、重みに対し、畏敬の念を持って手を合わせ、手を取り合い、力を出そう」と訴えた。また、「自然の恵みに感謝し、誰にも分け隔てなくその恵みを分かち合ってきたアイヌ民族の『共生』の思いを胸に、きょうまで関わってくれた全ての皆さんに感謝したい」と声を振り絞り、大きな拍手を受けた。
上映会には長男で俳優の剛士さん(59)も駆け付け「幼少時から民族の人権回復のために取り組んできた、まぶしく熱い母」とたたえた。