むかわ町穂別ふるさとの森づくり実行委員会が主催するマザーズ・フォレスト町民植樹祭が21日、町穂別ニサナイ地区の町有林で3年ぶりに開かれた。町有林への植樹権を贈るマザーズ・フォレスト賞の歴代受賞者(ゲスト)を含む約100人がトドマツの苗木200本を植樹した。
同賞は旧穂別町時代の1993年に創設。受賞者に町有林内の「母の森(マザーズ・フォレスト)」で木を植え、森林を育てる権利を贈呈しており、例年、受賞者と町民は植樹活動を通じて交流を深めている。
植樹祭は新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年、一昨年と中止され、今回は3年ぶりの開催。感染症対策として交流会は中止し、人数を縮小して行った。
ゲストには芥川賞作家の奥泉光さん(第1回)や映画監督の崔洋一さん(第2回)、惑星科学者の松井孝典さん(第4回)、女子マラソン五輪メダリストの有森裕子さん(第5回)らを迎えた。
開会セレモニーで同実行委の小坂利政実行委員長は「真心を込めて事業を継続していきたい。汗と水を流して植えて」と呼び掛け、植樹をスタート。初夏のような日差しの中、参加者総出で山林に苗木を植えて心地良い汗を流した。穂別高校の生徒会長山本厘さん(17)=3年=は「作業は大変だったが、数十年後に大きくなるのはすごいことだと思う。植えた木には立派に育ってほしい」と笑顔を見せた。
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崔洋一さんと奥泉光さんは、穂別町民センターで同日開かれた映画「田んぼdeミュージカル(第1作)」の上映会と合わせて催されたトークショーに出演し、同作品への思いを語った。
映画はむかわ町穂別地区のお年寄りを主役にした作品。シリーズ化され、崔さんは総合指導を手掛け、奥泉さんは複数の作品に出演した。
トークショーは田んぼdeミュージカル実行委員会が主催。崔さんは20年前を思い返しながら「製作に関わった多くの人がよみの国に行ってしまったが、いつまでも残していきたい作品。いつの日か、孫やひ孫の世代が当時のおじいちゃん、おばあちゃんの姿を見てくれることを信じている」とし、「戦争が生み出す人間物語をつくっていけたら」と今後の思いを話した。
奥泉さんは「一人ひとりの輝きをつくり出す斉藤征義さん(故人、同シリーズのプロデューサー)らしさが出ていて感動した。今書いている小説への力をもらった」と振り返り、「久々に町民の皆さんとお会いできてうれしい。また同じ時間を共有できたら」と語った。