食料危機で米ロ応酬―国連安保理

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  • 2022年5月20日

  【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は19日、議長国を務める米国の主導で、食料安全保障を議論する公開会合を開いた。参加国からは、ロシアのウクライナ侵攻で食料危機が深刻化しているとの懸念が相次いだ一方で、米国はロシアが食料供給を民間人に対する「武器」にしていると糾弾。ロシアは経済制裁に反発し、非難の応酬となった。

   ウクライナは世界有数の穀倉地帯だが、主な輸出ルートとなる黒海はロシア軍に封鎖されている。議長を務めたブリンケン米国務長官は「ロシアはウクライナや世界の人々への食料供給を人質に取っている」と批判。ロシアに港の開放や自由な輸送の実現を迫った。

   これに対しロシアのネベンジャ国連大使は、ロシアが世界の飢餓を招いているとの考えは「全くの誤りだ」と主張。西側諸国の制裁が供給網を混乱させていると反論した。

   日本からは小田原潔外務副大臣が出席。ウクライナからの穀物輸出を促進する「人道的食料通路」の設置を訴えた。

   世界食糧計画(WFP)によると、新型コロナウイルスや気候変動などの影響で、2022年初め時点で世界の2億7600万人が突発的な食料不足に苦しむ「急性飢餓」に直面している。侵攻により、アフリカを中心にさらに4700万人増加する恐れがあるという。

   危機解消に向けては、グテレス事務総長が、ロシアやウクライナ、米国、トルコなどに働き掛けていると明らかにしている。

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