ウクライナ、反撃で1000集落解放

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  • 2022年5月14日

  ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、動画メッセージで、ロシア軍から過去24時間で6集落を奪還し、これまでに1000以上の集落を解放したと明らかにした。ウクライナ軍は東部ドンバス地方で渡河を試みるロシアの戦車部隊を壊滅させており、大規模な反撃に出ているとみられる。ウクライナ国防省高官も、南部オデッサ州沖合の黒海上にある要衝のズミイヌイ島奪還に向けて戦うと表明。双方の戦闘は激しさを増している。

   南東部マリウポリの地元高官によると、ウクライナ部隊が抵抗の拠点とする製鉄所にロシア軍が「突入を計画している」とされ、さらなる犠牲につながりかねないとして危機感が高まっている。ただ、侵攻を続けるロシア軍は指揮統制が取れておらず「士気低下も続いている」(米国防総省のカービー報道官)という見方もある。

   激戦の一方、外交による解決を模索する動きも出てきた。トルコの報道によると、同国大統領府のカルン報道官は「(ロシアのプーチン政権が)ウクライナだけでなく、欧米とも対話の席に着きたがっている」と指摘した。事実なら、苦戦するロシアが事態打開に向けて欧州の安全保障体制をめぐる交渉を行いたい考えとみられる。

   オースティン米国防長官は13日、ロシアのショイグ国防相と電話で協議し、即時停戦を促した。両者が言葉を交わすのは2月の侵攻開始後で初めて。

   ただ、欧米への不信が根強いロシアの自制につながるかは不透明だ。バイデン米大統領は13日、北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請する見通しのスウェーデンのアンデション首相、フィンランドのニーニスト大統領と電話で会談。NATOの「門戸開放政策」を強く支える立場を伝えており、ロシアを刺激しそうだ。

   ウクライナ危機が長期化する見方もある中、ジョージア(グルジア)北部の親ロシア派支配地域、南オセチアのビビロフ「大統領」は13日、ロシアへの編入に向けた住民投票を7月に実施すると決定。ウクライナ南部ヘルソン州では親ロ派が住民投票抜きでのロシアへの編入を求めている。いずれもプーチン政権の意向を受けた動きとみられ、これら旧ソ連構成国2カ国を支持する欧米をけん制しているもようだ。

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